発足人あいさつ
皆様ご存知の通り、高齢者化社会において、摂食嚥下障害は大変重要な問題であります。しかし、その障害は原因も多岐にわたり症状の程度も臨床経過も個体差が大きいため、単一職種での対応には限界があります。という事までは周知されておりますが、では実際にどのような職種にアプローチをすればよいのか、またどこに連絡を取ればよいのか、など現場では不安になるようなコメントが沢山聞かれます。
そこで、微力ながら、地域の食支援に少しでもお役に立てられるように、私と金田先生が中心になり「食」を支える会を立ち上げました。
地域で多職種間の「顔のみえる関係」を築き上げ、摂食障害に対して知識の向上、観察ポイントの確認、日々の診療における疑問点などを一緒に勉強していくことが目的になっております。会が発足し、1年が経過しました。今まで出会えなかった他職種の方々とお会いし、顔がみえる関係が連携に繋がることを実感しております。これからも、1人でも多くの摂食嚥下にお困りの患者さまが「お口から食べられる」幸せを維持できるように、多職種で取り組んでいきたいと思っております。皆様で地域の「食」を支えていきましょう。
2017年 1月 三浦 康寛
言語聴覚士として働くようになり13年が経ち、その日々の中で摂食嚥下障害者のリハビリを行わない日は無く、臨床では様々な問題を抱えた摂食嚥下障害の方々がいらっしゃいます。一人一人症状も違えばその方々を支える回りの環境も多様で、ただ摂食嚥下機能を改善させれば良いだけではないと痛感しています。誤嚥性肺炎の発症の背景には多くの要因が関係しており、摂食嚥下機能・口腔衛生状態・栄養状態・薬剤の影響・加齢等非常に多くの要因が関連しているため、「食」を支えることは多くの職種の力が必要となります。しかし病院で誤嚥性肺炎の治療を受け退院されると、その後のフォローは在宅あるいは介護施設へと移行されますが、病院・施設・在宅間での連携はまだまだ十分とは言えず、再度誤嚥性肺炎を発症し、入退院を繰り返す事が非常に多い現状です。地域の中で施設間・職種間でお互いの関係性を深めていく事が大事だと思っています。そのような思いの中、三浦先生と「食」を支える会を発足して一年、様々な職種との出会いや知識の共有、それぞれが抱える問題を話し合い、今迄以上に口から食べる事がいかに重要であるかを再認識させられる日々です。これからも自分自身の知識・技術を深めることは勿論、職種・施設・地域を超えて、一人一人の「食」を支える力になれればと思います。
2017年 1月 金田 大輔